今週は観たい映画があまりなくて悩んでいたのだけれど、昨日違う場所で二回「50/50」の話を耳にした。私はそういうことは偶然だとは思わないので、今年初めてマフラーを捲いて行って来ました、TOHOシネマズ渋谷。20時55分の回。


27歳でがん宣告。5年後生存率は50%。なのでタイトルは「フィフティ・フィフティ」ということです。まず、「アメリカ人もがんで死ぬんだなぁ」とバカ丸出しなことを思ったり。見てると何だか堺正人のことを思い出す、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが、少し内気で真面目な青年を好演です。


彼の表情がとても良く、特に寂しそうな顔をされると、目頭の奥の方が熱くなります。がんでも難物の方に取り付かれているので、そういう表情を堪能する機会には事欠きません。彼女と別れたり、抗がん剤治療が苦しかったり、セラピストに当り散らしてみたり。いやぁ、この人モテそうだなぁ。


ストーリーは、正直なところあまっちょろい話だと思います。日常生活が音を立てて崩れ落ちていく絶望も、死と向かい合うことの死ぬような苦しみも、なんか最後にニコリと笑って水に流してしまうみたいなところが、なんというか稚拙。


私は、「人の生死」を題材に扱う作品が余り好きではなく、理由は「その題材自体が持つ力が強すぎるから」、です。「死ぬかも」と言われたら、それだけでもうなんかスゴイじゃないですか。この「50/50」もご他聞に漏れず、その強さにもたれかかってる部分があるような気がします。


ただ、それでも私がこの映画が結構好きで、それは主役の子の魅力もさることながら、作品全体が慈しみ育まれてきたように感じるからですね。理由は説明できないのですが、なんか「大事にされている」気配がする映画です。ついでに、友人・カイル役の人は最高。まさに「良い友達」そのもの。


この映画が全く同じストーリーラインで、堺正人・主演だったらどうなんだろうなぁ。とても観ていられない気がするなぁ。「外国の人が演じる」ことで、一つ生臭さが消えるという部分は間違いなくあるよね。