雨と音

雨が降っているのを見ると、誰かが泣いているんだろうかと思います。


そんな習性が自分から身につくわけがなく、それは私の大事なある友人が、
ビュービューと風が吹く台風の中、大して役に立たない傘をさしながら、
「オレの心とリンクしている」
と言ったことを記憶しているから。
思わず爆笑してしたのですが、おかげでその友人が不機嫌になったのは言うまでもありません。
水族館に行った、帰り道のことでした。


でも泣いてる人って、いいですよね。
笑っている人の次に良いと思います。
グシャグシャになって、びーびー泣いているの人を見るのが好きでした。
メソメソしながら、それでもぶつぶつとつぶやいてるのもいい。
そういうのを見ていると、自分もなんだかもらいそうになるんだけれども、
でもやっぱり、「泣いてる人を見ると嬉しい」みたいな。
笑っている人は大体誰でもかわいいですけど、泣いてる人は「相手による」っていうのはあるけどね。


結局人間なんて、その人が「なにを言ってるか」なんて聞いてなくて、
「誰が言ってるか」しか見てないと思います。
頭で考えたようなことは、その人を目の前にした瞬間に一瞬にして消え去ります。
「物がそうであるように、叩けば音が出るのが人間なんだ」
と言ったのは、青山二郎でしたか。
そのあと、「音が出ないような人間はオレは信用しねえ」みたいな風に続いたと思います。
確かに、触れたり叩いたりした時に、音が出る人は素敵だ。


とまぁ、首から上だけで生きているような自分が、そんなことをふと思うわけですけど。