レター

昔の本を読んでいると、たまにプライベートな手紙が挟まっていたりします。
本の内容に関係ある場合もあるし、そうでない場合もあります。
しおり代わりだったりね。
自分とは全く関係ない場合がほとんどなのですが(というか、関係ない場合しかないか)、つい読んでしまいます。
まさか、それを書いた人ももらった人も、数十年後に私がその手紙を読むなどとは想像してもいないわけです(当たり前)。
まぁ、因果があって私の手に入って、その手紙が盗み見られてしまうわけなんですが、読む私もそれがどういう人なのかも分からないので、おあいこと言えなくも無いのではないでしょうか。


今回の手紙は、その本の関係者が送った手紙だったようでした。

14年前に出した拙書は三版まで版を重ねましたが、今年の4月に絶版となりました。その際、在庫を12冊残っていたのを買い取りましたのを一冊謹呈いたしますので、何卒お納めください。

もちろん他にも、近況報告やら仕事の話やらと書いてあるわけですが、上で引用した部分は何か胸に迫るものがありましたね。
自分の仕事を評価されたという誇りと、それが時代が移り変わって行く内に、役割を終えて片付いてしまったというか、そういう感じがひしひしと伝わってきました。


昔の人は、色々な思いがあっても、それを口にすることも出来ずに飲み込んで来たのかなぁと。
言いたいことがあっただろうというのは、想像に難くないわけです。
今は、はてなダイアリーみたいなものがあって、そこにすんなり書けてしまったりもします。
私がどんな適当な文章を書いていたとしても、それは長い間残されて、googleから迷うことなく探すことが出来ます。
そういう自分の幸運を感謝するより、あまり多くを伝えられなかった人に「悪いなー」と思ったわけでした。
ごめんね。