それでも、結構楽しかったですよ。

別に、美術館づいてるつもりも無いのですが、高間筆子の展示を見てきました。
高間筆子はかなり若い頃に亡くなった洋画家です。
夭折した作家というのは、色んな意味で人気や知名度が出がちなのですが、その例に漏れません。
草野心平が熱烈な支持者で、そのからみでも名前の通った人です。


高間筆子には、もう一つすごい話があり、それは


「現在、ただの一点も作品が残されていない」


というものです。
油絵はもちろん、デッサンの一点も残されていないという徹底ぶり。
これでは、話が膨らむのも当然で、夭折した天才女流画家の伝説に彩りを加えています。


それじゃあ、どんな作品を書いていたのか分からないじゃないか、と思うのは早計で、さすがに作品の図版は今でも見ることが可能です。
ただ、実物が全く存在しない例が稀有で、通った名前を支える現物が無いというのがすごい話です。


明大前に、「絵の無い美術館 高間筆子館」というところがあり、私が出向いたのはそこです。
現物が一点も残されていないので、飾るべき作品がありません。
よって、「高間筆子館」が「絵の無い美術館」となるのは正しい道筋だということになります。
おぉ。
高間筆子の作品が30作弱、順繰りに壁に映写されます。
中央には、当時の資料がちょぼちょぼと。壁面には、詩が展示されています。
作品が存在していないことを逆手に取るという、面白いコンセプトです。
展示すべきものが無いので、場所もとりません。
なるほど。










ここまで読んで、ちょっと待てよと思った方。
実物が存在しない美術館って、ちょっと寂しくない?
と、思ったあなた。


あなたは、正しい。