なんてこった

ここ二年間、昼ごはんとしてずーっとカップラーメンを食べてきました。
このカップラーメンというのは、年間通してあきれ返るくらい沢山の新製品が発売されます。
おそらく、年間300種類ではきかない数が発売されていると思います。
日清・明星・まるちゃん・十勝製麺(私が行くサンクス系列は、ここのものがとても多いのです)……などなど。
主な参入業者だけでも両手くらいは数えられそうです。
私は、250〜300円帯の高級カップラーメンを中心に、おそらく年間100食くらいの新製品を食べていたと思います。
そんな中で、色々な経験をし、疑問を持ってきました。
なぜ同じ日清なのに、粉スープとタレを併用するものと、タレのみのものがあるのか?
とか、確かに凄麺は大したものなのだが、結局インスタントラーメンはここが限界なのか?
とか、十勝製麺の「名店の味」ラーメンは、なぜ全ての名店で全部同じ味がするのか?
とか、いざ食べようと思って袋から取り出すと、良く見ると寿がき屋の製品で食べる前に萎える。(寿がき屋の人、すいません)
とか、まぁそういうことです。


そして、ここへ来て私。非常に大きな結論に達しました。
これまでに、小さな結論は出ていたのです。
例えば、スープを粉のみで作る会社のラーメンは、二度と買ってはいけないとか。(タレを併用しないものはダメです)
タレのみと、タレと粉スープを併用するものでは、大抵の場合併用するのものの方が良いとか。
フライ麺は、チキンラーメンのような懐かしさに訴えるもの以外は論外とか。
こういうことは、毎日の小さい積み重ねの結果、はっきりと見えてくるのです。
個人的な、好き嫌いはもちろん重要です。
インスタントラーメンは本物のラーメンとは別の食べ物、ということももちろんあります。
カップラーメンの中でも、日清の「カップヌードル」と「ラ王」を同じカテゴリーのものと考えるのは難しいでしょう。
それでもまぁ、それを一くくりにしてカップラーメン。カップに入っていて、お湯を入れて食べるものがカップラーメンです。
そして、二年で300食を越える量のカップラーメンを食べた、私が出した結論はこれです。


「ありとあらゆるカップラーメンより、スープ春雨の方がうまい」


そうです。そうだったのです。


正直、この事実に気づいた時の衝撃は忘れられません。
(今まで食べてきたラーメンは、一体なんだったんだろうか……)
アナベル・ガトーに、ニナを連れ去られたコウ・ウラキは、こんな気分だったのかもしれません。


理屈を少し述べますと、結局のところインスタントラーメンというのは、カップスープの中に乾麺を浮かべた食べ物です。
乾麺は、フライ麺からノンフライ麺と、技術的な進歩はありましたが、結局のところ乾麺は乾麺です。本物のラーメンに近づくことはあっても、同じになることはありません。
一方、春雨はもともと乾燥したものを水分で戻す食べ物です。その戻す過程で、スープを春雨に含ませ、もともと大して味の無いものに味を入れるという食べ方をするものです。
カップスープ+乾麺」
という、動かしがたい枠組の中では、「元は生麺」というラーメンより「もともと乾麺」の春雨の方が圧倒的に相性が良いのは必然なのです。
結果として、カップラーメンより春雨の方が全然うまい、というのも当たり前なのでした。


まぁ、こういうことは直接試して見るのが一番です。
明星の凄麺を一つと、明星の春雨スープを一つ食べてみればその差はすぐに分かります。


コンビニに行き、その棚の前に行けばすぐに目に付くと思いますが、現在のカップラーメンの流行は「全国名店の味」です。
カップラーメンは、「本物のラーメン」という決してたどりつくことの無い幻影を追い求め、「有名ラーメン店の味」という虚像の局地にたどりついたのでしょう。その間にスープ春雨はもともとそういうものとしてずっとそこにあったのでした。
あぁ、無常。