空を見上げて(その23)

昨日は、記事を一個読んだだけで倒れてしまいました。これでは、いつになっても「宇宙飛行士」の日記は見つかりませんので、もう少し気合いを入れて行きます。


今日の一つ目はこれ。
(Pen, Paper and Weightlessness: Astronaut Pedro Duque's Soyuz/ISS Diary)
Pedro Duque氏の日記です。これは、ごく一般的に使われる「日記」というよりも、「航海日誌」というような意味合いが強いようですね。

23 October 2003
(2003年10月23日)


I am writing these notes in the Soyuz with a cheap ballpoint pen. Why is that important? As it happens, I've been working in space programmes for seventeen years, eleven of these as an astronaut, and I've always believed, because that is what I've always been told, that normal ballpoint pens don't work in space.
(私は、その辺で売られている普通のボールペンでこれを書いています。それがどうしたというんでしょうか? 私は、偶然にも17年の間宇宙に関わる仕事についていおり、その内の11年間を宇宙飛行士として過ごし、私はその間ずっと信じていました。なぜなら、私はそう教え込まれていたからです。普通のボールペンは、宇宙では使えません。


"The ink doesn't fall", they said. "Just try for a moment writing face down with a ballpoint pen and you will see I'm right", they said.
「インクが落ちて来ないんです」と彼らは言いました。「ちょっとの間、ボールペンで字を書いてみなさい。そうすれば、あなたは、私の言っていることの正しさが分かるでしょう」


During my first flight I took with me one of those very expensive ballpoint pens with a pressure ink cartridge, the same as the other Shuttle astronauts.
But the other day I was with my Soyuz instructor and I saw he was preparing the books for the flight, and he was attaching a ballpoint pen with a string for us to write once we were in orbit. Seeing my astonishment, he told me the Russians have always used ballpoint pens in space.
(最初の飛行の際、私はとても高価な圧力インクカートリッジボールペンを持って行きました(他のシャトルの宇宙飛行士と同じものです。
しかし先日、私はソユーズのインストラクターと一緒にいたのですが、彼は飛行のために本を準備しており、そして彼は、私たちが軌道上にたどりついた時にものを書く際に使うように、ひも付きの普通のボールペンを身に付けていました。私の驚きを見て、彼は「ロシア人は宇宙ではいつもボールペンを使ってるよ」と教えてくれました。


So I also took one of our ballpoint pens, courtesy of the European Space Agency (just in case Russian ballpoint pens are special), and here I am, it doesn't stop working and it doesn't 'spit' or anything.
(そうして、私も寛大なる欧州宇宙機構のボールペンを手にとりました(ロシアのボールペンが特別なのかもしれませんので)。そして、今は私はここにおり、ボールペンは不平を言うこともなければ、使えなくなることもありませんでした。


Sometimes being too cautious keeps you from trying, and therefore things are built more complex than necessary.
(用心深さが、時折人間の行動を止めることがありますが、それゆえに事態は必要以上に複雑なることがあります)

やばい、死ぬ。
この教訓的なボールペンの話が掴みになっていて、その後宇宙の美しさや、ISSでの仕事について語られています。宇宙に出ると、その美しさを写実的に語りたくなるのは日本人も外国人も変わることが無いようです。宇宙船から見た、太陽と地球の位置関係が景色を決めます。地球は、太陽から照らされている部分が昼、その裏側が夜です。頭では分かっていますが、実際に見た景色はどうなのでしょうか。写真で見たことのある、あの景色と同じなのでしょうか。それとも、やはり異なるのでしょうか。案外、写真の方が綺麗だったりして? 私はそうは思いませんけど。


(Cheers in China As Astronaut Goes Into Orbit)
今度は、中国の「神船5号」が有人宇宙飛行に行った際の記事です。Hu Jintao氏は、戻ってきたYang Liwei宇宙飛行士を大変な喜びようで迎えたそうです。かくして、中国は衛星軌道に人間を打ち上げることに成功した3番目の国になったというのが趣旨。

"This is a great moment in China's development," said Jiang Zaoming, a postgraduate studying space flight dynamics. "Our national perspective has changed. Before we were a nation on the ground looking up, but with this mission we have become a nation in space looking down. It will have a huge psychological impact and give people more confidence in our country."
(「これは、中国の発展の中でも偉大な瞬間です」と、Jiang Zaoming氏(大学院で宇宙飛行力学を専攻)は言いました。私たちの国家的な展望はこのことで変わりました。これまで私たちは、ただ見上げるだけの国家でしたが、これからは宇宙から見下ろす国となるのです。そのことは、巨大な精神的な影響を与えるでしょうし、私たちの国へのより強い確信を与えてくれます。)

なんともお手盛りな発言ですが、ワールドカップでベスト8になった時の日本という国もこんな感じだったかもしれません。

It's stupid to get excited about the space programme," said one man. "The reality of China is that people don't have enough money to buy food and clothes."
Most people said they were pleased but too busy to pay much attention to the takeoff. "We might have a small celebration tonight, but nothing special," said Yan Qi, a construction site labourer. "Our country has come a long way. But we can't afford to relax. We have to keep working."
(「ロケットの打ち上げなんかに興奮するなんて、愚かなことです」とある人は言います。「中国の現実は、人々には食べ物や衣服を買う十分なお金が無いということなのです」
ほとんどの人が、政府や関係者が打ち上げに夢中になりすぎていると口を揃えます。「確かに、私たちは今夜ちょっとしたお祝いをするかもしれませんが、そんなに特別なことじゃないですよ」と建設労働者のYan Qi氏は言います。「私たちの中国は大したところまで来たのかもしれませんが、私たちに余裕は無いし、働き続けなければなりません」

西側のマスコミだけあって、くさすことも忘れません。アメリカとロシア以外の国が人間を乗せて打ち上げることの違和感は、私にもなんとなく分かります。そういう無駄(いや、無駄じゃない)なことをやるというのが大国のステータスだったわけですが、冷戦なんていうのも終わり、景気も悪くなってくると「人間」を乗せて宇宙へ行くなんていうこと自体がまず見直されることになります。そういう流れの中で、突然中国の方が宇宙に出掛けたとすれば、アメリカ人もロシア人も心安らかでない(人もいた)ことは想像に難くありません。
韓国の代表が、ベスト4に進出した時の日本人の気持ちもそんな感じだったのかもしれませんね。


本日の記事三つ目。
(A giant leap, from boy band to astronaut)
イン・シンク」というバンドのメンバーが、観光宇宙旅行をするのに必要な医学テストにパスしたという内容です。
このまま行けば、世界で三人目の宇宙観光旅行者となるが、ライバルもいるとのこと。本人はやる気まんまんだそうです。
NSYNC」と書いて「イン・シンク」らしいのですが、二枚目のアルバムは世界で1500万枚くらい売れた大層なグループとのこと。五人だから、一人三百万枚か…… こういう発想が出てくること自体、ピンと来ていない証拠ですね。ごめん、知らないの。
で、日本の「イン・シンク」公式ページのプロフィールはこちら。

★ランス (James Lance "Lansten" Bass)
11歳で合唱隊のメンバーになり、1年後にミュージカルにも出演。プロとしても"ア タッチ"という合唱隊に入り全米ツアー経験あり。メンバーの中で1番のシャイ・ボー イ。音楽的ルーツはカントリー。でもボーイズⅡメンからオフスプリングと幅広く、 ビデオゲームも好き。
生年月日:1979年5月4日
出生地:ミシシッピ州ローレル
所在地:フロリダ州オーランド
好きな食べ物:フレンチ・トースト、メキシカン
星座:牡牛座 好きな俳優:Tom Hanks、Meg Ryan
好きな映画: “Armageddon”“Clue”
好きな色:鮮やかな赤、鮮やかな青
好きな音楽:Brian McKnightGarth Brooks
コレクション:絵、古い漫画、切手、アンティークのナイフと銃

このプロフィール、すごく適当な臭いがしますが気にせずに。好きな映画に、「アルマゲドン」が入っているのがご愛敬というやつでしょうか。そのわりには、好きな俳優がトム・ハンクス氏とメグ・ライアン氏だったりするしね。「Clue」という名前も、それらしい感じはします。というか、このランス氏。これだけ見ると、ただの趣味的な普通の若者でないの?
ポップスターが宇宙を目指す。これじゃあマンガだ、と言いたくなるような気もしますが、ポップスター自体がなんかそういう感じの存在なので、それであってるような気もします。
この宇宙旅行に行くための費用は、この記事によれば約2000万ドル。高い安いはこの際問題では無いのでしょうね。
で、この記事は2002年のことなので、話自体はある程度進んでいるような気がします。
「宇宙へ行ったことのあるタレント」という場合、ウエイトがかかるのは「宇宙」なのか「タレント」なのかどっちなのでしょうか。


これ、ものすごい面白いんですが、時間がかかること日本語の比ではありません。
さらに母国語で無いために、行間を読むことが極めて困難です。
とりあえず、明日も続けてみましょう。