「CAN'T BUY MY LOVE」YUI (STUDIO SEVEN RECORDINGS)



YUIという歌い手さんがいましてですね、アルバムを二枚出しています。
世間的には、というか私的には、CMでもガンガンかかっていた「CHERRY」という曲がヒットしたわけですが、それがずーっと耳に残っていて、タイミングがあったので一枚レコードを聴いたのです。
結果、最近「CAN'T BUY MY LOVE」というレコードを愛聴しております。


その「CHERRY」という曲の何が気になったのかというと、歌詞に
「恋しちゃったんだ 多分 気づいてないでしょう」
という部分があってですね、それを私は
「恋をしちゃったんだけど(多分)あなた自分でも気づいてないでしょう?」
と、自分に向かって問いかけているんだと聞き取っていたんですね。
いやぁ、若いのにすごいこと書けるんだなぁ、というか若くないと書けないのかなぁ、この「多分」は明らかに天才だよなぁ、普通じゃ書けないよなぁ、と尋常じゃない勢いで感心していたわけです。
そして、当時の同僚に例によって例によってyuiの天才ぶりを滔々と語っていたわけですが、しばらく私の話を聞いていたその同僚から
「その気づいてないのって、恋されてる相手なんじゃね?」
と言われて、ふと立ち止まりました。
あれ、こっちが恋してる、相手が気づいてない。それって普通じゃね?
その様子を見て、同僚はうんうんと頷いていたわけです。


私の気がついたYUIの天才は、残念ながら勘違いだったわけですが、別に「CHERRY」が良い曲であることには変わりがなく、今でもアルバムの最後を飾っています。それが縁で、三日に一回くらい通して聞くようになりました。
実は私はこの人に関する情報を、ほとんど何も持っていないのですが、おそらく若い人なんじゃないかと思います。
へたしたら未成年? なんにせよ、声がよろしいですね。非常にアコースティックというか、キンキンギャンギャンしていないけどちゃんと届いてる感じです。(まぁすごい細そうだし、口の前の方で歌ってるので、ライブは大丈夫なのかと心配になりますが)
そんな若い子の音楽をなぜ私が聞けるのかと言うと、なんつーかさ、楽曲が、というか全体を覆う感触がすごい古臭いんだよね。


いや、音を聞く限りはちゃんとお金もかかってると思うわけですよ。その点では、別に古いという感じではない、と、思う。
ということは、その古さというのは多分このYUIという子本人から出ているんじゃないかと思うわけです。
なんかちゃんと昭和を踏まえているというか、小さい頃からおっさんに仕込まれてる気配があるというか。
普段はちゃんと若者なんですけどね、歌詞とか聞いていても、今の若い子に人気があってもおかしくないよなーと思う。(ごめん、ホント正確な知識がないんだわ。あるよな、人気)
でもある瞬間ふと匂ってくるわけです、なんというか、「俺達の時代の気配」が。多分これは、ミスチルよりも前だな、みたいな。
それが狙ったものであるのか、それとも純粋に本人の素養から出てきているものなのか。気になります。
そのアンバランスさに引かれて、つい一枚目のアルバムも手に入れてしまいました。