全力中年

あー、頭痛いし、具合も悪いし、今日は早く帰って寝よう。
と、その時は思っているわけです。本気で。特に朝とか。
夜の12時まで電車はあるわけで、これは早いとは言えない時間であることは、私も認めるにやぶさかではありません。


しかし、最後に白木屋にたどりついた時はもう2時でした。朝の本気は、お日様が沈むとともに露と消え、温度が下がるとともにアルコールとして結晶し、再び私の体内に帰ってくるわけです。
昨日は4人ほど人がいたのですが、そのころにはもうみんなグダグダ。
一緒にいたおっさん一人が、居酒屋に入る前になぜか「メガマックのセットが買いたい」と言って、24時間営業のマクドナルドで買い物をしていました。それを見ながら、私は「なんだこの惨状は」と思っていたのですが、みなさんはどうお感じになるでしょうか。
1050円も買い物してるんだよ、深夜の2時にマクドナルドで。
何がひどいのかといえば、特定の部分がひどいわけじゃなくて、なんか全部ひどいよね。いろいろさ。


しかし、昨日は二日酔い、今日は始発で朝帰り。いい身分だなおい。
いや、全然うらやましくないでしょうけども。私も自分がうらやましくありません。
確かに恥ずかしいですが、嬉しくはありません。やっぱり、ドリカムにはなれないのね、という感じ。美和ちゃん、ごめん。
なにが? えーと、いろいろ。
力一杯生きて、力尽きても誰もほめてくれないんですけどねぇ。


解散間際の朝の五時、改札口でそのおっさんはマクドナルドの袋を持ち上げて、「誰かハンバーガー食べたい人」とのたまいました。
もちろん誰も食べたいわけがないのですが、私は一応礼儀として「なんでそんなものを買ったの?」と尋ねてみました。
「いや、食べたくはなかったんだけど、買ってみたかったんだよ」
あぁ、そうなんだ。なんか、俺らって仲間だよなぁ、ちょっと分かっちゃうもの、その気持ちが。
それでさ、そのことがやっぱり嫌だわ。悪いけど。


時は迷いもなく、正しい方向に爆走して行きます。
しかし私は、それに抗うことはおろか、殺伐とする余力すらなく、ベットに倒れこむわけです。
「あぁ、歯を磨かなくっちゃ……」
その部分は正しい、と思いながら、歯も磨かずに私は眠りにつきました。
タイトルはもちろんスキマスイッチから取っているのですが、「全力中年」と「ミスターチルドレン」ってちょっと似てない?
という話なわけです。
似てないか。