亀田クンが勝って、良かったんじゃないの。

最終ラウンド直前、膝をついてスリップダウンした時点で、知り合いに「亀田くん負けたね」とメールを打って、お風呂に入って、柔軟して寝ました。
次の日新聞を見たら、なんと亀田クン勝ったらしく、少し驚きました。
まぁ、「抗議の電話が三万本」とか、そういう記事も横にあったわけですけど。
実際に勝敗を決めるのは、視聴者による投票じゃなくて、三人のジャッジなんで、わざわざ電話するような人は熱い人ですね。
勝ちといったら勝ちなわけで、亀田クンがチャンピオンになることにはなんの問題も無いように思います。
ボクサーは一人の力で戦うわけではなく、関わるもの全ての力で戦います。
そういうところで、協栄ジムやバックアップする人たちが、勝つための努力を惜しまなかったんだなぁと、感心すらしました。
私個人としては、この結果に大変満足しています。
「へー、亀田クンってこんなにバックアップしてくれる人がいたんだ。19歳なのに、偉いな。マジで」
と、思ったわけです。同い年の幼馴染がいて、その娘が家事をやっているとも伝え聞き、これも好感度アップです。
まぁ、あんまり損する人がいない、良い結果だったんでは無いでしょうか。


亀田クンはチャンピオンになれたし。
ランダエタは、自分の国では稼ぎづらいであろう大金を持って帰れるし(国でも「本当は勝ってたな」と慰めてもらえるし)。
TBSは視聴率うはうは。
協栄ジムはベルトが来るし。ランダエタが持って行っちゃうと、スケジュールが狂っちゃうしね。
納得いかないのは、大半の視聴者だけで、その中でボクシングに詳しい人って0.1%くらいでしょうから、的を射たことを言える人ってほとんどいないでしょ。
ほとんど全部の関係者は、「結果オーライ」と胸を撫で下ろしたのではないでしょうか。
業界には業界の事情というのがあるでしょうから、あまり騒ぎ立てるのもどうかと思うのも確かです。
(とまぁ、完全に便乗して騒ぎ立ててるわけですが)
ただ、会見に同席した、協栄ジム金平桂一郎会長が、
「大先輩の王者でも『あれ?』という判定で防衛したことはある。救われることはあるし、運も実力のうち。判定で選手が泣いたり、笑ったりを繰り返すのがボクシングだ」
と、コメントを出していたのには「お前が言うなよw」と腹を抱えて笑いましたね。


しかし、なんと言っても、今回の試合で一番楽しませてもらったのは、
「まさか、こんな展開になるとは思ってもいなかったぜ」
というところですね。想像を超えるサプライズ。
私は自分が思っていたよりもこの試合を楽しみにしていたらしく、勝敗の予想くらいはしていたわけですね。
「あぁ、新聞読んでると亀田勝ちそうだなぁ、早いラウンドでKOするのかなー」とか。
「相手が意外に強くて、苦戦するんじゃないの?」とか。
まぁ、付け焼刃なんですけど。
しかし、こういう展開は想像の埒外
まさか、
「ちょっと押されてるように見えながら、判定にもつれこみ、テレビ観てる人の95%が負けたーと思っているところ、大勝利」
などと予想する人はいないものね。
彼は、今までも注目されてきた選手ですが、今回のことで「本当の」スーパースター路線に乗ってしまうかもしれない、とまで思いました。
今まではね、変わったお父さんがいる、「ボクシングがちょっと強い19歳のあんちゃん」だったわけですよ。
それが、世界チャンピオンになって、それがこういう風な試合で、世の中には「十字架を背負う」という表現がありますけど、まさにそれですよね。
ファンは「勝ちは勝ちじゃ! ジャッジのことを信頼できないならボクシング見んな!」と言うでしょうし、
アンチは「あんなの勝ちじゃねーって、八百長八百長!」と言うでしょう。
今回の件で、その声のボリュームは最大になってますから、亀田興毅の名前は清濁合わせて、日本中に鳴り響いたわけです。
スターってそうじゃないといけないと思うんですよね。ファンとアンチ、さらに無関心な人すら巻き込む力が無いと。
この件で、亀田クンの次の試合は、日本中の関心の的ですよ。


ただ、ちょっとアレな感じでチャンピオンになってしまったわけで、次に負けてしまうと、「ただのボクシングの弱い人」になってしまいます。
これは、ものすごいリスキーですね。
今回の試合を見ても分かるとおり、海外の強い人とやるのは、そう簡単なことじゃないんですよ。
でも次の試合を、キレイに勝てたら。これは本当にすごいことになりますね。
嫌いな人は、いつまでも昨日のランダエタ戦を持ち出すでしょうし、ファンはいよいよ熱狂するでしょうし。
19歳にしては重いものを背負ってしまった一方、19歳じゃなきゃ背負えないものを背負ってるわけですから、好き嫌いはともかく、この人は注目するに値すると思いますね。(「いつコケルんだろうか」という意地悪な目を含めてw)


亀田興毅になんて何も興味が無かったのに、昨日のタイトロープっぷりを見て、俄然ファンになってしまいました。






で、最後に亀田興毅のインタビューから、私が最も気に入った部分を紹介します。


インタビュアー「視聴率が40%を越えたそうです。それについては、どういう風にお考えですか?」
亀田興毅   「うーん、まだまだ100%にはほど遠いな」


「お前、天才!」と喝采を送りました。最高!