P.D.ジェイムズ「女には向かない職業」

ミステリーを読もうと思い、とりあえず小泉喜美子の「ミステリー歳時記」を読んだわけですが、候補がいくつか上がったわけです。
アイラ・レヴィンの「ローズマリーの赤ちゃん」、チャールズ・ウイリアムス「土曜を逃げろ」、ボワロー・ナルスジャック「野獣時代」、シオドア・スタージョンスタージョンは健在なり」などなど……


で、私が選んだ一冊といえば、P.D.ジェイムズ「女には向かない職業」(早川書房 小泉喜美子・訳)でした。
スタージョンは健在なり」あたりなら、ぜひ読んでみたいところなのですが。当然、持っておりません。
いやだってさ、ピンポイントで持ってないよ。作品まで指定されてしまうとさ……
じゃあ、本屋行けばいいじゃん、ということになるのですが。そうだね、でもね。
まぁ言い訳しいしいですね。
この、「女には向かない職業」、いわゆる「ポケミス」というやつです。
ポケミス読むなんて何年ぶりだろ…… と感慨にふけることが出来るほど、最近海外ミステリーとはご無沙汰でした。
まぁ小泉喜美子と言えば、ライス・クラムリィそしてこのP.D.ジェイムスあたりがまず名前が上がること、私でも知っているわけですから、選択は妥当と強弁しておきましょう。
「ミステリー歳時記」があまりに面白かったので、この人が翻訳した本を読みたくなったのですよ、きっと。


コーデリア・グレイという22歳の若い女性探偵が、依頼を受けてある自殺の真相を探る話が、ケンブリッジを舞台に展開されます。
パートナーの自殺から始まる物語は、時に「ちょっとくさい」と感じられるほど雰囲気たっぷり。
活動的な主人公と共に、あっちへ行ったりこっちへ来たりしながら、よたよたと真相に近づいて行きます。
結末まで行き、犯人の動機の設定に大きな問題があると思いましたが、そんなことは横に置いて、にこにこしながら読めました。
とても良い作品ですね。
主人公が22歳の女性であることが、とても良い雰囲気を作っている理由なわけなのですが、この設定を成功させるためには、かなりの力が必要だと察することができます。
おそらく才能のある作者ですね。他のものも読んでみたいと感じました。