「やぁ」と来て、「やぁ」と去る。(その18)

今日は4月第2週の「はてなダイアリー日記」です。

4月7日
波状言論 12:19

あは、一個。
波状言論」って、いかにもネットっぽくて良いタイトルですね。
映像喚起力もあるし。「波」の一字が、「言論」と言う単語に良く似合ってます。
好きか、嫌いかと言えば、苦手ですが。(突っ込む?)
ネットも、言論も苦手。質問されるのは苦手。するのが好き、苦手だけど。
そう言えば、得意なことが無くなったのは何時ごろからだったでしょうか。
小さい時はあったよなぁ。暗算とか。牛乳たくさん飲むとか。
人より長い時間勉強して、テストで良い点を取るというのは「得意」ということになりましたっけ?
人より短い時間しか勉強しなくて、テストで良い点を取る場合は?
「得意」と「得意気」は、随分印象が違いますね。主観と客観の差なのかな。
まぁ、他人と自分を比べることの無意味さに気づいた時ですかねぇ。
と、うまいこと言って逃げきったつもりになって。
これくらいは、誰でもこなすのにね。


そういえば、「period」の1巻を読みました。
吉野朔実の本を読んだのは久しぶりでしたが、とても面白かったです。
私の書くべきことに必要なので、大きくネタを割ります。
少年たちの父親は、子供を殴ります。お兄ちゃんは、自分の顔が壁にぶつかった時に出来た、血染めの顔型を指差して「魚拓」と言います。そして、弟と一緒にそれを雑巾で消します。
彼らの住む家は父子家庭で、母親は家庭から逃げ出したと描写されています。
お父さんは大学の教授で、強さと正しさを持った人です。子供は殴りますが。お兄ちゃんは、父親の暴力から弟をかばいながら、健気に日々を暮らしています。二人はいつも一緒。社会に存在する様々な種類の「関係」に巻き込まれ、傷つけられながらも、お兄ちゃんは頑張ります。
ある日、決定的な事件が起きます。お父さんは、弟を親戚の家に預けることに決めました。そして、「お前らは母親に捨てられたのだ」と宣告します。ショックを受ける兄弟。
お母さんは帰って来ないし、このままでは兄弟は離れ離れになってしまう。お兄ちゃんは深夜、金属バットを手に取ります。そして、そのバットを机に向かって座っているお父さんの頭に振り下ろします。
その日、兄弟は一緒に寝ました。目覚ましをかけて。学校に遅刻しないように。


次の日、目を覚ますとお父さんは朝食を取っていました。そして、二人に笑いかけました。お兄ちゃんは怖くなって、弟の手を引き学校へと向かいました。
朝は元気そうに見えたお父さんですが、頻繁に頭痛が起きるようになり、徐々に寝こみがちになります。
やがて入院することになるのですが、そこにいたるまでにも色々ありますがこれは割愛します。
検査入院のために入った病院で、お父さんはお兄ちゃんを呼び出すのです。


お兄ちゃんの名前は迥(ハル)、弟の名前は能(ヨキ)と言います。
「お父さん本持って来ました。これで良かったですか?」
「うん、ありがとう。 ……ハル、本題はここからだ。」
「え?」
「ハル。」
「はい。」
「手を出しなさい」
両手を差し出すハル。
「片手でいい」
「はい」
引っ込めなかった方の右手に、鍵が一つ乗る。
「どちらか迷って、家を売ることにした」
手を握るハル。その中で、鍵がチャリンと鳴る。
「家を売るか、貴志を見捨てるのか。 ……だが金はずいぶん残る。それは銀行の貸金庫の鍵だ。おまえとヨキの、教育を受けるための費用がそこに用意されている。加代子も貴志もこの事は知らない。知っているのは私とおまえだけだ」
お父さんは続けます。
「きっと必要な時が来る。それまでおまえは学ぶ事を怠るな。一日一冊は本を読みなさい。なんでもいい。自由に教育を受けられる―それは何にも代えがたい幸運と知れ」
ハルはお父さんの方をじっと見ています。
「知識はおまえを救う、必ず。そしてヨキを守ってやってくれ」


泣いたぁ。特に「一日一冊は本を読みなさい」以後は号泣やむなし。
理由は、分かる人にはなんの説明も無しに分かるだろうし、そうで無い人にはどんなに説明しても分からないんだ。(第一、自分が説明できないのだから仕方が無いね)
これほどの作品なのだから、おそらくとても有名なんでしょう。上の話に少しでも感じるところがあって、なおかつこの作品を読んだことの無い人は、手にとっても良いかもしれません。きっと、何倍も感じるところがあると思います。いいなぁ、これから読める人は。でも、一番おいしいところ書いちゃったからな。ごめんね。
(「period 1集」 吉野朔実 小学館 IKKI COMICS)