「星の街から−誰でもなれる宇宙飛行士訓練日記」(菊地涼子)

あとがきを開くと、そこには全てを書き終えた作者がこう語りかけて来ます。
「私にでもなれた宇宙飛行士だから、きっとあなたでもなれる。私でも耐えられたのだから、きっとあなたでも耐えられる」
そして、こう続けます。
「もしもあなたが、ちょっとだけ今の生活を変えたいと思っているのなら、宇宙飛行士にでもなってみませんか?」
こんなお気楽な発言とは全く裏腹に、この本の作者は最初から見事な「構え」で自らの任務に出向いています。
自ら、「出発前に1ヶ月間、ロシア語の勉強をした」と書いていますし、日本内でも選別を受けてそれを突破した人間です。リュックサック一つでロシアに行っても、宇宙飛行士にはなれないということは、無目的なインドのバックパッカーにでも分かりそうな道理です。第一、「星の街」は軍事施設なので地図には載っていません。
さらに、このあとがきに至るまでの一冊の本が、「あなたでも宇宙飛行士になれる」という意見を全力で裏切っているのです。
作者はおそらく、「生涯でたった一度」の自分の立場を理解し、「そうなったからにはありとあらゆることを見逃すまい」と体中を神経にしなければならないと考えたのでしょう。
(6月9日の日記より抜粋)

えーと、読み終えました。とても楽しかったです(本当です)。でも、これだけ気を入れて読めば、どんな読み方をしたって面白いに決まっているような気がするので、話半分に聞いてください。
昨日上記の全文が載る予定だったのですが、心の底からうまく行かなかったのでふて腐れて寝ました。今は少し反省しています。
上の部分だけ読むと結構おもしろそうですが、一番うまくいってる部分を使ったのでそう見えるだけです。しばらくあがいてみますので、この本の良いところのお裾分けはしばらく待ってください。お願い。